ショコラ

フランス人はショコラを愛してやまない国民である。
私もショコラに目がない。
ショコラはフランス語でチョコレートのことである。
まず、この言葉自体が可愛らしい。
私はカカオ分75〜85%のショコラが好きで、食後に一欠片頂くのが楽しみの一つだ。
口にいれると芳醇なカカオの香りが広がり、 舌の上で転がしながらゆっくりと溶けるのを待ち、味わっていく。この時の恍惚感と言ったらたまらない。

チョコレートはスペインからやって来た。チョコレートの起源はどこにあるのか。
古代メキシコ人は、すでに紀元前2000年頃からカカオ豆を神事の飲み物として育てていた。それを全世界に知らしめる貢献者となったのが、1519年にアステカ帝国を征服したフェルナンド・コルテスだ。
もともと、アステカ人はカカオ豆をすりつぶしてペースト状にしたものに水を溶かして飲んでおり、さらに唐辛子を入れていた。そこでスペイン人は砂糖を入れて独自の苦みや香りを引き出すことに成功した。やがてチョコレートはスペインからイタリアに渡り、フランス王室に広まった。

ショコラを作る専門家をショコラティエ、ショコラを販売する店をショコラトリーと言う。フランス、特にパリでは新鋭のショコラティエが目覚ましい活躍を見せている。そして一方では、歴史あるショコラトリーが変わらない味を提供し続けている。

私がパリで好きなショコラトリーは2つある。
一つは「ジャン・ポール・エヴァン」。
二つ目は「ドボーヴ&ガレ」だ。ガレは、1800年創業の老舗であり、美食家ブリア・サヴァランがその著書「美味礼讃」の中で、もと薬剤師であり王室御用達のドボーヴ氏のチョコレートに折り紙をつけている。200年も前の美食家が愛したチョコレートを現代も口にすることが出来るのは何と素晴らしいことか。

他にも有名処の「メゾン・ドゥ・ショコラ」や「クリスチャン・コンタン」と名店の名前を挙げればきりがない。
フランス人がこのような名店に通うのはごくまれだが、彼らは、お気に入りのショコラを通勤鞄やハンドバッグにしのばせ、一息つく頃に幸せを噛みしめるように食べる。それは例えスーパーで買った板チョコであっても変わらない。
ショコラ・マジックに取り憑かれた私も、今日は何のショコラを買おうかと考えるのが楽しみの一つであった。






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